本日(6/25)の日本経済新聞の朝刊(11面)に「トヨタを変える:新体制始動」という記事がありました。小さな見出しに,“雇用維持のハードル”とあります。内容は,「世界経済後退の影響で売上が減少し,生産量を縮小する必要がある状況下で,雇用維持が課題になる」というものでした。社員を人財(人と財産と考えるために“人財”)といって,雇用を維持し続けてきた日本企業(今回の特集はトヨタ)にとって,雇用は聖域とされていました。それが,難しくなってきている状況が描かれています。
なぜ,今,トヨタの「雇用維持」が注目されているのかといえば,それは,過去10年以上にわたる売上拡大・組織拡大を続けてきたトヨタが久しぶりに縮小の段階に入ったからです。
この記事と関連して,組織におけるひとつのキーセンテンスをご紹介しておきます。
それは,
「社員の幸せ(特に人材育成という観点から)を実現するためには,組織は拡大し続ける宿命にある」
というものです。
組織が市場に対して価値を提供するためには,価値を提供できる人を育成し続けなくてはなりません。一般に,人は仕事で成長するといわれていますから,教育だけを施しても市場に価値を提供できる人は育ちません(研修は受けてみたけれど,1週間もしたら忘れてしまうのは仕事が与えられないからです)。市場に高い価値を提供できる人を育成するためには,どんどん大きな,あるいは難しい仕事を与え続ける必要があります。大きな仕事には権限が必要ですから,大きな仕事を与え続けようとしたら,一般的には,昇進させ続ける必要があります。つまり,人は成長するためには,昇進をする必要があるわけです。
ここで問題になるのは,一般的な組織はピラミッド構造になっていますので,社員の数よりも昇進先のポストが少ないということです。
そこに,組織が拡大し続ける宿命があります。
人材育成をしようと考えれば,組織は拡大し続け,ポストを創り続けなければならないわけです。
なかなか売上・利益を拡大し,組織を拡大することができない組織は,全体的に昇進を遅らせたり,課長の下に課長補佐や係長などの肩書きを作ってみたりするわけです。しかし,それは本質的な解決策ではありません。
経営者は,常に組織を拡大させ続けることに使命を感じる必要があります。
翻って,図書館はどうでしょうか。図書館における組織の拡大も,利用者にこれまで以上に高い価値を提供しつづけること以外にないと思います。
このことを体験的に感じながらも,これまで以上に高い価値をなかなか提供できない,あるいは価値を提供したとしても,その成果をうまく示すことができないというジレンマを抱えていらっしゃる図書館のマネジメント層の方も多いと思います。
ですから,ぜひ,そのような図書館員の方々といっしょになって,職員の方々がいきいきと働き,自己の成長を実現していく図書館,またそれを創造する図書館経営を考えていくことができたらと思っているわけです。